【IoTビジネス活用企画会議】店内でのお客様の動きを把握して、お客様獲得の機会を増やしたい! ~飲食業~

インターネットとモノがつながり、さまざまな可能性が出てくるIoTの世界。今までできなかったことができるようになる、見えなかったものが見えるようになるなど、使い方次第で大きなビジネスチャンスを創り出します。

IoT機器の開発には、従来にはないスピード感と柔軟性が必要となりますので、開発にはオープンソースハードウェアの活用が欠かせません。株式会社ビズライト・テクノロジーは、ハード・ソフト両方の面で多くの経験と実績を持ち、高い技術力でオープンソースハードウェアを用いた開発をサポートしています。同社が提供するArduino互換のIoT向けボード「BiZduino」と、Raspberry Pi搭載IoTゲートウェイ「BHシリーズ」は、オープンソースハードウェアであるArduinoやRaspberry Piに対し、産業用として耐えうる機能を追加し、各種の試験を行う事で安定性や信頼性が高められています。

「IoTビジネス活用企画会議」では、IoTをビジネスに活かすための相談事に、具体的な解決策を同社代表取締役社長・田中博見がお答えします

課題「店内にいるお客様の動きをデータとして集めたい」

コーヒーショップ店主Aさんからの依頼。

「当店は、会計を先に済ませて自由な席についてもらうタイプのコーヒーショップです。お客様が来店した時間や何を注文したのかなどは、レジの記録で分かります。しかし、お客様が何時に店を出たのか分かりません。また、感覚でどのあたりの席が混雑するのかは分かりますが、正確にどの席が一番埋まっているのかはわかりません。お客様がどの席について、いつ店を出たのか把握することはできないでしょうか? 席についてから店を出るまでの時間は人によって違うので、レジのデータからでは店が実際に混雑している時間が分かりません。また、席についている人の数が分かれば、混雑状況を外の看板などに表示してお客様を呼び込むチャンスにしたいのですが、そのようなことはできるのでしょうか?」

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チェーン店やある程度の大きさの店であればPOSレジが導入されているので、お客様が店に来店した時間、何をいつ注文したのか、どのテーブルについたかが分かります。また、後会計の店であれば、会計した時間で店を出た時間も分かります。そのデータを見れば、どの時間に何人のお客様が店内にいて、どのテーブルが埋まっていたかが予測できます。

しかし、1人で来たお客様ならば1つのテーブルに1人なのでデータに違いは生じませんが、グループで来店して先に帰った人がいた場合は会計時の人数に差が生じてしまいます。例えば、8人で来店して4人用のテーブルを2つ使用していた場合。先に4人帰り1つのテーブルが空いたとしても、店側がそれに気づいてデータを入れ直さなければ、実際は空いているのにもかかわらず、そのテーブルは使われた状態として記録されてしまいます。

また、先に会計して自由な席につけるタイプの店の場合は、来店時間と注文した品しか分からず、どの席についたのか、いつ店から出たのかはデータとして残りません。滞在時間の長いお客様が多い場合は、実際に店が混雑している時間と、売り上げが多かった時間帯に大きな差が出ることになります。何らかの問題があって、あまり使われていない席があったとしても、どの席についたのか分からないので、それに気づくことができません。さらに、テイクアウトのできる容器で提供している場合は、お客様が店内に残って飲食したのか、それともそのまま店外に出てしまったのか分からなくなります。

IoTを使えば正確なデータを残せる

ところが、お客様が来店してどの席についたのか、いつ席を離れて店から出たのかなど、来店されたお客様一人一人の店内での動きをリアルタイムで正確に把握し、データとして残すことが出来ればこれらの問題は解決します。後会計の店やグループで来て先に帰ったお客様がいても、店の混雑状況を正確に把握できます。よく使われている席と、そうでない席が分かるので、店内レイアウトや案内表示の問題などを検討するデータとなるかもしれません。お客様の滞在時間もわかるので、少しだけ休みにきたのか、何人かで打ち合わせに来たのか、1人で仕事をやる為に来たのかなど、どのようなお客様が多いのかデータから傾向をつかむこともできます。

また、店の混雑状況をリアルタイムで知ることができるので、その情報を基に店外のモニターなどへ席の空き状況を表示させれば、店員による呼び込みをしなくてもお客様の来店チャンスを増やし、満席でお断りしてしまう可能性が減らせ、効率のよい店舗運営が可能となります。多くの店舗が入るフードコートのような施設であれば、どこかに混雑状況を知らせるデジタルサイネージを設置することで、店舗を見て回らなくても空いている店がわかり、お客様の利便性を高めるとともに、混雑を分散させることにもつながります。さらに席についている人の性別や大よその年齢なども合わせて把握出来れば、滞在時間とお客様のタイプの関連性が分かるようになるかもしれません。

単純な空き状況の表示ならば、店内を見て手動で入力して表示することは可能です。しかし、それでは多くの手間がかかり、忙しくなった時には情報の更新が遅れ、正確な情報を残せません。そこでIoTの技術を使うことで、自動で正確にデータを残すことができるようになります。

解決案「椅子やテーブルに取り付けた各種センサーとBHを用いて解決します」

この問題に対しての田中の回答はこちらです。

「椅子やテーブルに赤外線、重さ、振動などの人を検知する各種センサーを取り付けます。各種のセンサーのデータをBHへ送り、人であるかどうか判断して座席の位置のデータと合わせて記録していきます。さらに、そのデータを基に混雑状況を店外のデジタルサイネージに表示します。クラウドに上げてAIで解析することで、あとどのぐらいで席が空くのかを予測することや、お客様のタイプを推測することも可能です」

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まず、テーブルや椅子にセンサーを取り付けます。センサーは、例えば赤外線であれば前に人が来ることで赤外線が反射して人を検知します。重量を検知するセンサーであれば、椅子に座った際の重さの変化から人を検知します。他にも、振動、熱、歪みなどそこに人がいる事を検知することが可能なセンサーは各種あり、それを何種類かテーブルや椅子に取り付け、得られたデータを解析することで人がその席についていると判断します。こうすることで、椅子に荷物が置かれた場合に人と誤認識することを防ぎます。

センサーで得られた情報は、センサーを直接BHに接続するか、センサーをBiZduinoに接続して無線通信でBHへ送ります。BHでは、例えば熱が30度以上、動きがあるなどの設定された基準に基づき人であるかどうか判定します。人であると判断した場合、送られてきたセンサーの位置から、どの席が使用されているかを判断して、使用状態であることをデータとして記録していきます。また、トイレや電話の為、一時的に席を離れた人か、席が空いてすぐに席についた人であるか、重量や動きの変化などから同一人物か判定して、お客様の人数の変化に反映させます。これにより、どの席が、どれくらいの時間、お客様に利用されたのかリアルタイムで記録されていきます。

リアルタイムのデータを取得し効率化につなげる

リアルタイムの席の利用状況のデータが記録できれば、例えば店外のデジタルサイネージに「現在4人用テーブルが3、カウンター席が3空いています! 窓際席が空いているので眺めのいい席がご用意できます!」、「ただいま満席です! しばらくお待ちいただきます」というようなメッセージを自動的に流すことができます。

こうすれば、2階や3階にある店でも、店員が1階の建物外にまで行って呼び込みをすることなく、お客様に空席があることを伝えることができ、お客様も階を上がったり電話で確認したりしなくても、空席を知ることができて利便性が高まります。

他にも、空席の有無をSNSやホームページへ自動的に上げるように設定をすれば、検索して近隣の店を探しているお客様へ、直ぐに店に入れることを伝えることができます。また、大きなフードコートのような場所であれば、各店舗の空席情報を施設案内用のデジタルサイネージに表示することで、店舗の前まで行かずに店に入れるかどうか判断できるだけでなく、スマートフォンと連動させてその場で席の予約まで行えます。

どこでもいいので早く食事をしたい昼休みのビジネスマンであれば、空席を探して歩き回る必要がなくなります。また、どうしてもその店で食事をしたい人であれば混雑状況を確認して空きが出るまで他の店で買い物をするか、その場で予約をして空きの情報が出るまで待つことができます。大型施設に限らず、駅の案内看板のような物でも、デジタルサイネージを使い近隣の商店街の飲食店の混雑状況の情報を無線で飛ばして表示すれば、不慣れな地で飲食店を探す人や外国人観光客にも店内の雰囲気と共にすぐに入れるかどうかを知らせられるのです。

このように、店内のテーブルや椅子にIoTを導入することで、お客様獲得機会を増やすだけでなく、自動的に行えるので人手不足により集客にまで人を動員することができない店でも活用可能です。IoTで今までにない効率的な集客が実現できます。

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収集したデータをクラウドで解析する

こうして収集された席の利用状況のデータは、クラウドへ送られて解析が行われます。例えば、席が使われている頻度を店内の位置で見た時、朝は入り口側の席が早く埋まり滞在時間も短いが、夕方からは奥の席から埋まり滞在時間も長いというような傾向が見られたとします。

これを近隣の施設のデータやイベントの情報などと関連付けることで、道の先にある企業の通勤経路となっていて社員の利用が多く、朝は出勤前で急いでいるが、夕方はゆっくりくつろいでいると予測されます。または、毎週ではないが同じ曜日の同じ時間帯に奥の席で長く利用する人が増えるというような傾向が見られたとします。近くには予備校があり、その曜日には模試が開催されていて、模試直前の勉強をしに来ている人と予測されます。その予測を基に、予測されたお客様にあったメニューをオススメすることができます。

例えば、朝は早く出せるものをオススメして、夕方や長い時間の滞在が増える曜日には飲み物以外のフードメニューをオススメにするなどです。予測通りのお客様で、売り上げに結びつけばその部分に力を入れていけます。そうでない場合は、別の客層であると判断して新たに解析を行い、予測精度を上げていくことで、経験の長い店員が感覚的にとらえていた客層や混雑する時間帯などを自動的に予測できるようになっていきます。POSレジの売上データからも近い予測は立てられますが、席の利用状況のデータと連携させることでより精度を高めることができます。

他にも、入店して席についてから席を離れて店を出るまでの時間を、多くのお客様のデータを解析して時間帯や季節などに合わせて予測することで、満席時にあとどれくらいで席が空くのかを高い精度で知らせることができるようになります。席の埋まり方の傾向を見ることで、店内レイアウトの問題が見えてくるかもしれません。やり方次第で多くの利用方法が考えられます。

お客様の声を拾い上げる技術

IoTやAIはお客様の無意識の動きや声に出てこない希望を、見えるように、気づけるように変化させます。IoTに関わる機器やシステムの開発は、変化が早いニーズに素早く対応する必要があります。そのためにはオープンソースハードウェアを積極的に利用した開発が望まれます。ビズライト・テクノロジーは、オープンソースハードウェアを用いた開発において、多くの経験と高い技術により、開発をサポートします。お気軽にご相談ください。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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