【IoTビジネス活用企画会議】POSではわからない、顧客の売り場での行動を分析したい! ~小売り業~

株式会社ビズライト・テクノロジーは、ハード・ソフト両方の面で多くの経験と実績を持ち、高い技術力でオープンソースハードウェアを用いた開発をサポートしています。同社が提供するArduino互換のIoT向けボード「BiZduino」と、Raspberry Pi搭載IoTゲートウェイ「BHシリーズ」は、ArduinoやRaspberry Piに対し、産業用として耐えうる機能を追加し、各種の試験を行うことで安定性や信頼性が高められています。

「IoTビジネス活用企画会議」では、IoTをビジネスに活かすための相談事に、具体的な解決策を同社代表取締役社長・田中博見氏がお答えします。

課題「売り場での、お客様の購入行動に関するデータを集めたい」

カメラ販売店Aさんからの依頼。

「カメラや交換レンズの販売で、どんな人が購入したか、ポイントカードを持っている方ならある程度分かるのですが、売り場でどんな人がその商品に興味を持って手に取っているか分かりません。そのカメラやレンズで撮影されたサンプル写真は売り場にあって、販売員の人が横についていれば見ているところを確認できるので、その方が興味を持っていることが分かります。しかし、常に販売員が横に立っているわけではなく、毎回お客様の特徴をメモにして残すこともできないので、すべてのお客様の商品に対する興味を把握することはできません

商品を手に取ったり、サンプル画像を見たりしている人が、何人ぐらいいるのかを計測することはできないでしょうか? そうすれば、購入された数とは別に、購入まではいかなくてもどの商品が興味を持たれているか分かります。さらに、男性か女性か、年齢はどのぐらいの人か、家族連れ、といったデータも集められないでしょうか? そこまで分かれば、陳列する商品の構成や、セールの内容、売り込みをかけるべき年齢層や男女差を決めるなどのマーケティング用データとして大変助かります。どうにかして集められないでしょうか?」

どの商品が売れているかは、販売データを見れば簡単に分かります。しかし、商品を手に取ってみたが、購入には至らない場合は数多くあります。お客様が手に取った数が分かれば、同じ売上台数なのに、一方は手に取られた数と販売台数が近く、一方は手に取られた数よりも売上台数が大幅に少ないというデータが得られるかもしれません。

値段が高いのか、性能が思ったほどなかったのか、重すぎて手になじまなかったのか、買う気はないが単に気になったから手に取っただけなのか。購入に至らなかった理由はいろいろ考えられます。少なくとも、手に取られた数と売上台数に差がある商品であるならば、数の差が少ない商品と比較して、来店されるお客様を納得させられる点が少なかったと言えます。そこを上手く改善できれば、その商品の売上を伸ばすことができるかもしれません。

さらに、手に取っている人の年齢層や性別が分かれば、この商品は若者に興味をもたれているのか、年配の方のほうが興味を持っているのか、男性向きなのか、女性向なのか、といった情報が得られます。その情報をもとに、年代や性別に合わせたプロモーションを打つことで、売上を伸ばすことができるかもしれません。

または、商品開発において、機能を絞って年配の方に向けて販売してみたが、実は手に取るのは若者のほうが多く、どうやら写真を気軽に撮りたい若者層に受け入れられているようだといった情報が得られるかもしれません。今までメーカー側では、ユーザー登録してくれたお客様情報でしかそのような情報を得られませんでした。それが売り場レベルでデータを収集できますし、商品開発の手助けにもなります。

ほかにも、商品が手に取られた情報と、手に取られた時間や季節、その日の天候、近隣で行われているイベントなどの情報とを紐づけることで、ほかの情報を得ることもできます。例えば、この商品の売り場が混雑するのはどの時間帯や季節であるのか、どんなイベントがあるときにこの商品が興味を持たれるようになるのか、といったことが分かります。売上データから見えない、売り場レベルでのお客様の購入行動を把握できれば、売上向上や商品開発に大いに役にたちます。今までは人の手で確認する以外、売り場でのデータ収集は困難でした。今はさまざまなテクノロジーでそれが可能になっています。

解決案「タグ、センサー、カメラとBHを用いて解決します」

この問題に対しての田中氏の回答はこちらです。

「サンプルの商品に、RFIDやバーコードなどの認識用タグを取り付けます。BHに接続されたセンサーでそれを読み取り、該当の商品で撮影した画像をBHからモニターに表示します。その際に、モニターに取り付けたカメラで、商品を手に取った人の画像を記録。画像をクラウドに送り解析して、おおよその年齢、性別、同行者がいるのかといった情報を収集するシステムを組みます」

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まず、該当の商品を識別するためのタグを商品に取り付けておきます。タグには既に商品に付けられているバーコードや、RFIDのタグを用います。バーコードを使用する場合は、タグを読み取るセンサーとしてバーコードリーダーが必要になります。RFIDはradio frequency identifierの略で、電子タグ、非接触タグとも呼ばれ、電磁波や電波を用いて、非接触でタグに対して情報を読み書きします。RFIDのタグはIC回路とアンテナを備え、外部からの電磁波を動力源として稼働するパッシブ型と、動作のためのバッテリーを持つアクティブ型があり、バッテリーを持たないパッシブ型であれば数ミリ角程度の小型のものもあります。情報の読み書きはパッドやゲート状に作られたアンテナを備えたセンサーで行われ、情報はセンサーを直接BHに接続して送るか、センサーをBiZduinoに接続して無線通信でBHへ送ります。これにより、その商品に興味を持って手に取り、商品の情報を見ようとセンサーへ商品を乗せた数が計測されていきます。また、商品陳列棚にセンサーを取り付ければ、手に取った時点でその商品が手に取られたことが分かります。

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続いて、手に取られた商品の情報をBHからモニターへ送り表示します。表示される情報は、そのカメラやレンズで撮影された画像のほか、スペックなどの詳細情報も表示可能です。ポスターや冊子と異なり、動画なども流すことができるので、お客様の目を引きます。情報の切り替えは、タッチパネル式のモニターにすればお客様が自由に切り替えることが可能となり、多言語に対応することもできるのでインバウンド需要を読み取ることもできるようになります。

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情報が映し出されるモニターに取り付けられたカメラは、情報を見るお客様の顔を認識し、画像を解析することで大よその年齢や性別の情報を取得します。顔の画像解析により年齢を判断する技術は、既にタバコの自動販売機などで実用化されている技術です。骨格や目、口の動き、シワなどを読み取り、何十万人ものデータと比較して数秒で判別していきます。また、同時に写っている人の年齢構成から家族であるのか、同年代のグループであるのかなどを推測することもできます。画像データは残さず、年齢や性別のデータだけ残し、暗号化して保存すればプライバシーも確保されます。

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収集したデータをクラウドで解析する

このように集められた年齢や性別のデータは、クラウドでほかのデータと紐付けられて解析が行われます。例えば、「ある季節では望遠タイプのレンズを手に取る人の数が増えている」「手に取っているのは男性で30代が多い」「男性と一緒に同年代の女性や10歳前後の子どもも同行している場合が多い」「近隣の学校のイベント情報を読み込むと、運動会の開催が近づいていることが分かり、どうやら子どもを撮影したい父親層がこのレンズに興味を持っていることが分かる」などがデータとして集積されていると、手に取って製品の情報を見ようとしたときに、同時に動く人を上手に撮る撮影方法も見られるように設定を変えておくことができます。それにより、お客様の興味をより高め、購入へ結びつける可能性を上げられるかもしれません。

ほかにも、このミラーレスカメラは20代の女性のお客様が手に取っていることが多いと分かります。それならば、製品情報と一緒にカメラの持ち運びを便利にするスタイリッシュなアクセサリーなどの情報を同時に出すこともできます。このようなシステムを取り入れれば、漠然としか分からなかった潜在的な購買層が購入前の段階で分かり、その層に合わせたピンポイントなプロモーションを打つことが可能になります。

このシステムはカメラ製品に限らず、多くの分野での利用が考えられます。例えば、化粧品売り場。メーカーごとに店舗が分かれたデパートの化粧品売り場のようなところならば、販売員が対面で対応するのでこの商品がどのような層に人気があるのかなどは把握できます。しかし、ドラッグストアのように多くの製品が並び、テスト用の商品が自由に使えるような店舗では把握することが難しくなります。商品にRFIDタグを取り付け、手に取った時点でそれを検知できれば、購入までに至らなかった分も含めて商品に興味を持った数が分かります。基本的に購入するのは女性で、商品の詳細も現物を見れば分かるものなので、カメラや画像解析まで行わない単純なシステムでも効果を上げられます。IoTやAIなどの新しいテクノロジーは、今まで目に見えなかった、気づくことのできなかった人の行動や欲求を、目に見える形に変えていくことができるのです。

目に見えなかったものを目に見えるようにする。それを手助けする経験と技術

IoTに係わる機器やシステムの開発は、今までとは比べものにならない速さで行われています。その速さに対応するためには、オープンソースハードウェアを積極的に利用した、すばやいプロトタイプ製作が必要となります。株式会社ビズライト・テクノロジーは、オープンソースハードウェアを用いた開発において、多くの経験と高い技術により、開発をサポートします。お気軽にご相談ください。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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