フォグコンピューティングとエッジコンピューティングとは何か?

IoT技術の発展とともに聞くことが多くなった「フォグコンピューティング」と「エッジコンピューティング」という言葉。どちらも今後のIoTの普及において必要とされる概念であって、似たような意味で使われることもあります。

しかし、フォグコンピューティングとエッジコンピューティングは似ているようで異なる点が多くありますので、具体的にどのように違うのか解説していきます。そして、それらがどのようにIoTに関わってくるのか、IoTにより今後どのように世界が変わっていくのかなど、株式会社ビズライト・テクノロジー代表取締役社長・田中博見がお話します。

フォグコンピューティングとエッジコンピューティングが注目される背景

フォグコンピューティングとエッジコンピューティングという概念が広がり始めた理由として、クラウドの処理能力の限界という点があります。コンピュータネットワーク機器開発会社であるCiscoによると、スマートフォンやIoT機器の普及により、2020年には500億個を超えるさまざまなデバイスがインターネットに接続されると予想されています。

デバイスの数はその後もさらに増大していくことが予想され、これらの機器から送られるデータがすべてクラウドのサーバに送られれば、やがて処理できないほどのデータ量になると考えられます。また、通信の速度はサーバとの距離に比例して長くかかることになるため、医療や災害の対応など即時性が求められるシステムでは、対応が遅れる懸念も出てきます。

さらに、クラウドとの通信障害が発生した場合は、各デバイスはデータを送れず、処理された応答もなくなるので何もできない状態になってしまいます。このような問題を解決する方法として出てきたのがフォグコンピューティングとエッジコンピューティングという概念です。

フォグコンピューティングとは

フォグコンピューティングは、前出のCiscoが提唱したもの。IoTデバイスのあるローカルなネットワーク内に、データを一次的に処理するIoTゲートウェイやフォグノードなどを置き、処理されたデータを必要なIoTデバイスへ送り返したり、クラウドに上げたりすることで、即時応答とクラウドの負荷軽減を可能にします。クラウド(雲)よりもデバイスに近いところに位置するのでフォグ(霧)と表現されます。

エッジコンピューティングとは

エッジコンピューティングは、各デバイスの近くにデータを処理するサーバを置く、またはデバイス自体がある程度の処理能力を持つことで、即時応答やクラウドの負荷軽減を可能にします。フォグコンピューティング、エッジコンピューティングのどちらも、IoTデバイスにより近いところで分散的にデータを処理する点は同じといえますが、デバイスまでの距離や通信、データ処理の方法は異なります。それぞれに長所・短所があるので、使用環境や用途などによりどちらかが選択されるか、複合的に使われることになります。

「ラストマイル」から「ラストセンチ」の世界へ

ラストマイル(ラストワンマイル)とは、通信事業者から家庭や企業までを接続する最後の区間を示す言葉。かつては通信事業者の加入者局から、サービスを受ける顧客の建物までの距離が約1マイル(1.6km)あったことからそのような言葉ができました。フォグコンピューティングやエッジコンピューティングによるIoTの世界では、クラウドへつながるネットへの入り口は数センチや数メートルの距離になります。

例えば工場での話。かつての工場では、機械はネットワークに接続されておらず単独で動いているのが普通でした。しかし今では、工場内の機械がネットワークに接続され、個々の機械の情報はネットワークを介して工場内のサーバに集められます。集められたデータは、工場内のサーバで処理され、必要な情報が機械へ返されるか、クラウドに上がり各地の工場で共有されます。機械から工場内のサーバまでの数メートルの距離で、ネットへの入り口に届くことになります。
さらに進んで、個々の機械にデータ処理能力や無線通信機能を備えたセンサデバイスが取り付けられれば、ダイレクトにクラウドまでデータを上げられるので、ネットへの入り口は数センチという距離となります。

また、センサからのデータをセンサデバイスで処理できれば、動作異常を検知しての停止や稼働状況の調整など、緊急性の高い処理を自ら判断し実行できます。同様のことは、家庭内の家電や家具類、オフィスの空調装置、照明機器、オフィス機器類など、ありとあらゆるモノで実現可能であって、ネットへの入り口が身の回りのあらゆる場所に設けられることになります。それがIoTの世界なのです。

IoTゲートウェイで、安価で容易にフォグ網やエッジ網を構築

フォグやエッジは、大きなサーバを置き、コストをかけて大々的にやらなくとも構築できます。オープンソースハードウエアがそれを可能にするのです。
実際、ビズライト・テクノロジーでは、Arduino互換のIoT向けボードBiZduinoと、Raspberry Pi搭載IoTゲートウェイBHシリーズを提供しています。BiZduinoは、Wi-Fiモジュールとして技適認証取得済みのESP-WROOM-02を搭載し、802.11 b/g/n(2.4GHz)の無線LANに対応。センサからのデータをデジタル量に変換して、ダイレクトにクラウドに上げることも、簡単なプログラムである程度のデータの処理も可能です。BHシリーズを使ったIoTゲートウェイがあるところで使えば、フォグ網を無線により簡単かつ安価に構築することも可能です。

BiZduinoやBHシリーズのようなオープンソースハードウエアを使ったデバイスを使えば、コストをかけずにフォグやエッジを構築できます。BiZduinoやBHシリーズを置くだけ。その間の配線も要りません。後付で、安く簡単に構築可能です。

今後IoTがさらに浸透すれば、既存の機器をネットにつないだり、新たなセンサを取り付けたりというようなことが多く起こります。また、それらの機器からのデータを集めて処理するIoTゲートウェイを新たに設置する必要が出てくる場合もあります。

取り付けや設置の場所に余裕があり、相互に接続するための配線も容易な場所であれば特に問題ないのですが、困難であることも多いでしょう。仮に可能であっても、大掛かりな装置ではコストもかかり、設置の費用も大きくなります。通信の機能や高い処理能力などを備えたBiZduinoやBHシリーズでは、それらの問題を解決し、容易にフォグコンピューティングやエッジコンピューティングを実現させます。

ビズライト・テクノロジーでは、サブギガ帯(Sub-GHz無線)を使ったデバイス間での相互の通信や、3Gにダイレクトに接続できる通信インターフェースを持ったものなど、さらにユーザーの要望に応えられる製品をリリースしていく予定です。お気軽にご相談ください。

参考URL:シスコ、Internet of Everything(IoE)に関するホワイトペーパーを発表|CISCO

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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