IoTの無線通信技術の今とこれから

IoTにおいて欠かすことの出来ない無線通信技術。多くのIoTデバイスは、無線通信によりデータの送受信やインターネットへの接続を行っています。IoTで重要となる無線技術の今と、今後注目される無線通信技術について、株式会社ビズライト・テクノロジー代表取締役社長・田中博見氏にお聞きします。

IoTに使われるさまざまな通信技術

IoTデバイスの多くは無線で通信を行っています。有線での接続も行われていますが、配線の手間やコストがかかり、IoT用デバイスの数が増え続ければ物理的に接続することができなくなります。また、あらゆるモノとネットがつながるIoTでは、場所や形状、動きにより有線での接続が難しいモノもあります。無線での通信はIoTにとって無くてはならない技術なのです。IoTで使われている無線通信技術を幾つか紹介します。

Wi-Fi 、Bluetooth、ZigBee

Wi-Fi 、Bluetooth、ZigBeeは家庭やオフィス、工場などで主に使われている通信技術です。いずれも、免許が不要な2.4GHz帯の周波数帯が用いられています。周波数が高いので通信できる情報量は多いですが、電波の直進性が高いので壁や障害物の影響を受けやすく、通信できる範囲は10mから100m程度と比較的短い特徴があります。5GHz帯を用いたギガビットWi-Fiもあり、通信距離は短くなりますがより高速で大量のデータを送ることができます。

また、2.4GHz帯は古くから利用されているので、コードレスホンのほかに電子レンジなど多くの機器が屋内外で利用しています。そのため、同じ周波数が周辺の機器で使われていると、電波干渉が起きて通信に影響が出る場合があります。5GHz帯を用いたギガビットWi-Fiは、利用され始めてからの期間が短く利用する機器が少ないだけでなく、利用できる帯域も広いため通信への影響は現状少ないといえます。

そして、ほかの通信技術と比べると2.4GHz帯の周波数帯を用いた通信技術は消費電力が比較的高いため、充電バッテリーや電池を用いての長期間連続して動作させるような使い方には向いていません。しかし、世界中で広く使われている技術なので、価格が安く選択肢も多く導入が容易であることと、技術的情報も多数あります。

  • Wi-Fi
    PCやスマートフォン、各種情報機器のデータ通信やインターネット接続に用いられています。Bluetooth、ZigBeeと比べて通信速度は速く、11M~1300Mビット/秒程度になりますが、速度の速い分消費電力が大きくなります。TCP/IPが使えるので直接インターネットに接続でき、色々な機器に搭載できます。利便性が高く、多くの機器で使われているので安価で簡単に通信環境を構築できます。
  • Bluetooth
    ヘッドホンやキーボードなどの機器と本体機器との無線での接続に多く使用されています。Wi-Fiに比べて通信速度が低く、1M~24Mビット/秒となります。通信距離もWi-Fiの100mと比べて10mと短いのですが、消費電力がWi-Fiよりも少ないのが特徴です。さらに消費電力の少ないBluetooth Low Energy(BLE)もあります。すでに多くの機器に搭載されているので、導入が容易にできます。
  • ZigBee
    FA向けの機器のセンサのデータ収集や制御など組み込み機器に多く使用されています。通信速度は20k~250kと一番低いですが、通信距離は100mほどあります。また、Bluetoothの同時接続が7台までに対し、ZigBeeは最大で65,536台の同時接続が可能です。

3G、LTE

3GやLTEは携帯電話やスマートフォン、タブレットなどで用いられる通信方式です。2GHz帯前後や800MHz帯前後などの周波数帯が用いられています。いくつもの電話会社からサービスが提供されていて、通信状況も安定しており、数㎞先の基地局とのデータの送受信も行えます。このため、有線でネットワークに接続することが難しい場所やWi-Fiネットワークの無いエリアでの通信用に用いられることがあります。

最近ではLTE方式における低電力、低コスト化を見据えたIoT機器向けの「LTE Cat.NB1」「LTE Cat-M1」といった規格の策定も進んでいます。

Wi-SUN

Wi-SUNはWireless Smart Utility Networkの略です。サブギガヘルツ帯と呼ばれる920MHzの周波数帯が用いられています。920MHzの周波数帯は2012年に地上アナログ放送の停波で空いた周波数帯。免許がなくても使用可能です。

Wi-Fi 、Bluetooth で用いられる2.4GHz帯と比べ、障害物などがあっても電波が届きやすく、最大1km弱程度の長距離で相互通信を行うことが可能。ほかの機器などからの干渉も少ないのが特徴です。通信速度は1Mbps以下と比較的遅いですが、電池駆動で10年はもつ省電力無線通信となっています。ガス、電気、水道のメーターから効率的に無線通信で検針データを収集するスマートメータシステムへの活用が想定されていましたが、ほかの用途への利用も注目されています。

BHシリーズ「BiZduino」の通信技術と今後の展望

株式会社ビズライト・テクノロジーの提供するRaspberry Pi搭載IoTゲートウェイBH3は、ベースにRaspberry Pi 3  Model Bを採用しています。10 / 100Mbpsイーサネットのほか、無線通信技術として802.11n Wireless LANとBluetooth 4.1、Bluetooth Low Energy (BLE)を備え、Arduino互換IoT向けボードBiZduinoでは802.11b/g/n Wireless LANに対応しています。

これにより、BiZduinoに取り付けられた各種センサやデバイスとBHとで、Wi-Fiを用いてワイヤレスでデータを送受信することが可能となります。BHからはWi-FiやBluetoothを用いて、クラウドとのデータの送受信が可能です。これにより、BiZduinoとBHを用いたワイヤレスなfog網を簡単に構築できます。今後のBHシリーズでは、LTEや3Gにも対応していく計画です。

田中氏は今後の展望について「今後IoTではサブギガヘルツ帯のWi-SUNか、似たようなサブギガ帯の通信を使ったデバイスが主流になる。デバイス側はそれにより電池駆動で10年は動く。そのデータをワイヤレスで受信して3GやLTEでクラウドにアップする。完全なワンストップゲートウェイ。そんな世界がかなり主流になるだろう。」といいます。かつては高精度の高価な測定装置を有線で設置し、直接対象物を測定することで結果を導いていました。それがIoTならば、安価なセンサを数多くワイヤレスで設置し、ビッグデータやAIによる解析で導き出すことができるようになるのです。無線を使用する免許も配線工事も要らず、数百メートルの範囲から数多くのデータを一瞬で集められるシステムが安く簡単にBiZduinoとBHシリーズで構築できます。

株式会社ビズライト・テクノロジーは、各ビジネスに最適なIoT導入のご提案や、プラットフォーム構築に対する問題点の解決策を検討していますので、お気軽にご相談ください。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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