AIによりできること……AIによるIoTの現在と未来

IoTの活用において、なくてはならない技術の1つにAIが挙げられます。かつてのAIは与えられたデータから結果を判断して返すだけの単純なものでした。
現在では、インターネット、センサー、カメラなどから膨大なデータを収集。機械学習、ディープラーニング、ビッグデータ解析、音声認識や画像処理などのさまざまな技術を駆使し、瞬時にデータを解析。それらにより、人間の能力では見つけ出すことのできない関係性を導き出すことや、結果の予測まで行うことができるようになってきています。その技術は年々進化し、将来は人間の仕事を脅かすようになるのではともいわれています。

そこで今回は、IoTと切り離すことのできないAIの技術について、現在の取り組みと未来の展望を株式会社ビズライト・テクノロジー代表取締役社長田中博見がお話します。

そもそもAIとは? AI技術の昔と今

AI(Artificial Intelligence)は、「人工知能」と訳されます。人間のように受け答えしたり、物事を判断したりする人工的に作られたシステム(知能)のことで、多くの場合はコンピュータ上またはコンピュータが搭載された機械で動くプログラムを指しています。その研究の歴史は古く、1946年に世界最初のコンピュータENIACが開発され、翌年の1947年にはイギリスの数学者でありコンピュータ科学者でもあるアラン・チューリングにより人工知能の概念が提唱されました。1956年にはアメリカの人工知能研究者ジョン・マッカーシーがArtificial Intelligenceという言葉を使っています。

初期のころのAIは、人間の手により膨大な知識やルールなどをすべて与え、希望する最も良い結果となるように推論と探索を繰り返すものでした。このようなAIでは、チェスや将棋などのように決められたルールに基づき結果を出す専門的分野においては、今や人間を上回る能力を発揮するまでになっています。しかし、一般的な日常生活やビジネスの分野においては、あらゆるルールや知識を与えることは困難です。また、多くの知識やルールの中から必要な分野だけに限定して判断するという、人間が当たり前のように行っていることがAIでは容易に行えないため、幅広い分野での利用は進みませんでした。

近年では、膨大なデータから反復的に学習し与えられた基準に基づきそこに潜むパターンを見つけ出す機械学習や、大量のデータから自分で物事を分類するルールを見つけ出すディープラーニングなどにより、AIの能力は飛躍的に進歩しています。専門分野にとどまらず、一般社会のあらゆる分野に浸透しつつあります。

AIの進化とIoT技術の広がり……デバイス自身が考え動き始める

AIの能力の進歩は、IoT技術の広がりとも深く関わりがあります。近年のAIでは自ら収集した膨大なデータから学習して推論、予測していきます。このデータ収集と予測結果のフィードバックを行う手段が各種のIoTデバイスです。ドアや床、壁のほか、乗り物や自動販売機などに取り付けられたセンサー。街中にあるモニターやカメラ。それらから集められたデータはゲートウェイを通してクラウドへ送られ、AIにより解析されます。センサーの数や種類が増え、集められるデータも増えればそれだけ学習効果があがります。IoTを使うことで、インターネットから得られるグローバルなデータだけでなく、特定の対象に特化したデータをリアルタイムで収集することが可能となり、それを元に高い精度で結果を予測することができるようになるのです。

このようなAIの能力の進歩にともなうIoT技術の広がりは、各種IoTデバイスの進歩にもつながります。あらゆるところにセンサーが用いられることでその数が増え、データをクラウドへ送るゲートウェイの数も増えていきます。数が増えれば、より安く、小さく、早い高性能なものが求められます。ビズライト・テクノロジーは、そういった要望にこたえられるIoTゲートウェイとしてBHシリーズを提供しています。

BHシリーズならばセンサーがつながるし、外部の制御もできます。画面表示を切り替えることや機器を動かすこともできますし、ゲートウェイとしてネットにもアクセスできます。将来的には、これ自身がサーバーと連携して自分自身で考えて動作する、AIとセットになったパッケージを出していきたいと考えています。

BHシリーズをはじめとする各種のIoTデバイスは、日々目覚ましい速さで進歩しています。現在のIoTゲートウェイはクラウドとのデータのやり取りが主な役割です。しかし、将来的にはクラウドで導かれた結果を元にゲートウェイ以下のデバイスが判断し、クラウドから分離されてもある程度自律的に動作できるようになるでしょう。ゲートウェイでありながらクラウドサーバークラスのことができるようになってくると考えられます。
IoTのゲートウェイは、その能力の向上とAI技術により、将来的にはフィジカルなゲートウェイと、デバイスを動かすドライバーとしての動きをするゲートウェイと、ロジカルなゲートウェイの3つの働きをすることになると考えられます。

今後IoTで重要となる要素は「人のために作られたものを判断する技術」

これからのIoTとAIとの関係においては、CPUよりもGPUが重要になってくるでしょう。画像処理、音声処理の技術をあげることで、世界観が変わると考えられます。

昨今、車の自動運転技術は飛躍的に向上しています。これにはGPSや障害物を検知するセンサーのほか、道路の状況や標識を読み取る画像処理の技術も使われています。これにより、地図情報から得られる交通規制の情報だけでなく、現地での情報を加味して判断が行えます。

しかし、これが将来完全に自動運転の車だけになれば標識は要りません。標識の代わりに情報を送るビーコンが地面に埋め込まれていれば、画像で見るよりも正確に情報を得ることができます。現状、世の中のあらゆるものは人が認識するように作られていて、コンピュータが判断するためには作られていません。それをいかに認識し、データ化するか。その手段として画像処理、音声処理の技術は今後のAIと連携して動作するIoTにおいて重要な技術となってきます。

今までの日本のプロダクツは100あれば100じゃなければ駄目という考え方でした。これからは『8割でいいよ。2割は人にやらせるから』という考え方に変わるでしょう。
加えて、どれが正解かわからないが、全数の3割が正解というのであれば人間が全数チェックしないといけないので従来と変わりません。しかし、この3割は絶対間違いない、という判断が出たらその3割は人間のチェックは不要です。3割は絶対正解という判断が、AIとゲートウェイの最適な技術ミックスで可能になるのです。

今までできなかった問題もAIにより解決され、ビジネスの考え方は大きく変わってくると考えられます。ビズライト・テクノロジーはRaspberry Pi搭載IoTゲートウェイBHシリーズを使って新しいプラットフォームを作りたい人たちとともにビジネスを展開し、あらゆることをサポートしていきたいと考えています。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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