フレキシブルでスピーディーな開発を可能にする「オープンソース」

ソフトの世界では、Linuxに代表されるオープンソースの技術が以前から広く使われていました。近年ではその考え方がハードの世界にも広がっています。正確にニーズを読み取り、よりスピーディーに対応して新たな技術を開発していくことが求められる昨今の開発環境において、オープンソースによる技術を利用することは重要な課題となっています。

そのオープンソースの技術を使用することに対してのメリットとデメリット、そしてデメリットに対してどのような解決策があるのかを株式会社ビズライト・テクノロジー代表取締役社長田中博見氏にお聞きします。

オープンソースによる開発……オープンゆえのメリットとデメリット

オープンソースのOSであるLinuxの開発がスタートしたのは1991年。フィンランドのヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズ氏が、自身の所有していたPCでUNIXを走らせようと開発したのが始まりです。決められたライセンスの管理下で、誰でも自由に改変し再配布することが可能。その結果、多くのユーザーの手により改良、開発が重ねられ、現在では数多くのサーバーのほか、スマートフォンや各種の機器で使用されています。

このように、オープンソースのメリットの1つは、世界中のユーザーが関わることにより、1人や1つの会社で行うのとは比べものにならない速さで改良が行われ、それを使った新しい技術が生まれてくるところです。そして、生みだされた新たな技術は誰でも自由に使えます。もう1つのメリットとしては、その技術に対する情報が多数公開されているところ。何か疑問や技術的問題があっても、多くの場合それに対する答えがすでにあり、新たなことを行う場合も、その手助けとなる別の事例が数多く見つかります。また、未解決の事案でも、世界中のユーザーがその問題について検討を行う場が用意されていて、日々解決策が検討されています。オープンソースによる開発では、何万、何十万というエンジニアを投じて行うような開発と同じ効果を、わずかなコストと時間で得ることができるのです。

逆にオープンソースのデメリットとしては、そのすべてが自己責任である点です。自由に改変が可能であり無償で配布されているので、それが本当に自分の環境で正しく動くのか、何か問題を起こさないのかなどは誰も保証していません。情報においても、その情報が本当に正しいのか判断するのは自分自身で行わなければなりません。これは、オープンであるゆえのデメリットといえます。

ハードにも広がるオープンソースの考え方

オープンソースによる技術の利用は、Linuxの例のようにソフトの世界ではすでに深く浸透しています。近年では、その考え方がハードの世界にも広がりつつあります。オープンソースハードウェアであるRaspberry Piがその1つ。Raspberry Piではハードウェアの設計仕様が公開されていて改変が可能。OSには、Linuxなど各種のOSを使用することができます。もともとは教育用途で開発されたRaspberry Piですが、すでに1100万台以上が出荷され(2016年末時点)、さまざまな産業用の機器にも利用されています。
Raspberry Piを利用すれば、Raspberry Piのインターフェースに各種の部品を接続して先にテストを行い、その結果を元にRaspberry Piをカスタマイズして製品とすることができます。ものによっては、テストで組み上げたのとほぼ同じ状態でそのまま製品化することが可能です。
さらに、テストを行う際にも、事前にさまざまな情報を世界中のユーザーから得ることが可能なので、解決済の問題を再びテストする必要もありません。これにより、白紙の状態からの回路の設計や多くの検討が不要になり、大幅に時間とコストを削減できます。

田中氏は「限られたリソースしかないなか、わざわざ情報の少ないところにいって、わからないことを乗り越えて開発をしていては、この急激な社会の変化に追いついていけない。わからないところはわかる人に聞けばいいし、任せるところは任せる。ビジネスモデルを早く検証するのが必要。そのような問題を解決するためにもオープンソースが必要だ」といいます。オープンソースハードウェアによるフレキシブルでスピーディーな開発は、今までの開発手法を変えるだけでなく、IoT技術をはじめとする変化の速い現代のテクノロジーに対して、なくてはならないものといえるでしょう。

オープンソースハードウェアの問題を解決するBHシリーズ……ビズライト・テクノロジーの未来のビジョン

しかし、オープンソースハードウェアによる開発には現状問題もあります。オープンであるためのデメリットは、そのほとんどが自己責任である点です。

オープンソースのソフトウェアでは、そのソフトをまとめてパッケージしたディストリビューションが数多く生まれました。それを配布するディストリビューターのなかには、有償で独自にセキュリティプログラムや保守ソフトを用意し、システムの保守、補償まで行っている場合もあります。このような存在は、オープンソースソフトウェアのビジネスでの普及において不可欠です。

しかし、オープンソースのハードウェアでは、その点がまだ全く整っていません。早く、安く開発を進めようとRaspberry Piを使ってテストを行い、テスト品で機能を十分満たしていたとしても、いざ製品化の段階で止まってしまいます。その動作は誰が保障してくれるのか? 安定して動くのか? 耐久性は確保されているのか? オープンソースハードウェアでは、その使用や開発に関して、相互の情報のやり取りという点では徐々に行われつつありますが、製品化を含めた広い範囲でのサポートを行えるディストリビューター的な存在が現状まだいない状況といえます。田中氏は「その一端をビズライト・テクノロジーで請け負いましょう」といいます。

ビズライト・テクノロジーのRaspberry Pi搭載IoTゲートウェイBHシリーズは、Raspberry Piのもつフレキシブルな拡張性に加え、産業用途にも問題なく使用できる堅牢性、安定性を備えた設計となっています。独自電源回路による電源安定供給、ボタン電池駆動のRTC搭載、金属筐体によるケーシング、高い静電気耐性、ノイズの低減、コンデンサによる電源断対策など。Raspberry Piだけでは足りなかった産業用に耐えるだけの拡張性、堅牢性、安定性を備えています。オープンソースハードウェアの問題点を、ビズライト・テクノロジーの技術で解決しました。すでに2000台以上出荷され、エンターテインメント、建築、製造機器等さまざまな分野で使われ始めています。

田中氏は「オープンソースソフトウェアによる開発は今後さらに増えていくが、既存の機械のインターフェースとの接続方法は? この機器に組み込みたいけどうまく動くのか? 工場内でこんなふうに使用したいがどうしたらいい? といった、ハードに直結した内容を聞ける場が少ない。ビズライト・テクノロジーでは、プロダクトの提供だけにとどまらず、そのような場も作る手助けをしていきたい」と展望を語ります。

今後、ビズライト・テクノロジーは、IoT、オープンソースハードウェア、Raspberry Pi、AI、各種製品などに関して読者の質問、要望に積極的に答えていきます。ご意見お待ちしています。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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