IoTによるビジネス変革の波。先に作った者が勝ち、遅れた者が消えていく世界

今、さまざまな分野で話題となっているIoT。Internet of Things、「モノのインターネット」と訳されるこの新たな動きは、驚異的な速さで広がりつつあります。このコラムでは、IoTに関してさまざまな技術を解説するとともに、その動向などを株式会社ビズライト・テクノロジー代表取締役社長・田中博見がお話します。

そもそもIoTとは? あらゆるモノがネットにつながる未来

多くの場面で目にするようになったIoTという言葉。モノのインターネットということで、家電や車などの何らかの「モノ」と「インターネット」が接続されて何かが起こる……そんなボンヤリとしたイメージはすぐに浮かぶと思います。ここで改めて、IoTとはどのようなものであるか整理します。

IoTに必要な要素は以下の3つが挙げられます。

  1. データの収集やフィードバックを行うセンサーや情報端末などのデバイス
  2. ネットワークとのデータのやりとりを行うゲートウェイ
  3. データを蓄積、解析するクラウド

デバイスにより収集されたデータはゲートウェイによりクラウドに蓄積されます。蓄積されたデータはAI(人工知能)などにより解析され、その結果が再びゲートウェイを介してデバイスに伝えられます。デバイスでは解析結果に従い情報が表示される、モノが動作するなど何らかのフィードバックが行われます。

従来は人の手によりデータを収集し、それを解析して人の手によりフィードバックを行っていました。しかし、IoTではモノがデータを収集する機能(デバイス)と通信する機能(ゲートウェイ)を持つことで、人から与えられたデータだけでなく、モノ自体が自動的にデータを取得しクラウドへ蓄積。それを解析することで、今まで人の手だけでは得られなかったモノの動きを知ることが可能となり、モノが自ら何らかのフィードバックを起こすことが可能となります。これにより、モノの状態を高い精度で予測し、人が従来行っていたさまざまな作業をIoTに切り替え削減することができるようになるのです。

既に使われはじめ、広がり続けるIoT

IoTは既にさまざまな分野で活用されはじめています。例えば、無線通信機能を備えた電気ポット。電源のON、OFF時や給湯ボタンが押された時にポットが信号を発信し、システムセンタに送信されます。システムセンタに集められたポットの使用データは、指定したメールアドレスに送信されたり、ネットを介して確認したりすることが可能です。これにより、遠方に住む高齢の家族の安否確認を行うサービスは、十数年前から実現されています。今では、スマートフォンと連動して遠隔操作や、状況の確認までできるエアコン、冷蔵庫などの各種家電が実用化されています。

次に、Suicaなどの交通系ICカードやスマートフォンを使用して飲み物を購入できる自動販売機。自動販売機に取り付けられたセンサーで外気温など天候情報などを得たり、購入者の情報を読み取ったりすることで、その時、その人に合った商品をオススメすることが可能です。また、購入した商品と購入者の情報を収集することで、どのような日に、どこで、どんな人がこの商品を買ったのか、購買につながる多くの情報を集めることも可能です。それを解析することで、最も売上を良くする商品構成を導き出すことや、商品の補給時期などを予測することができます。

このほかにも、車に取り付けられたGPS、ブレーキの回数やエンジンの状況を検知するセンサーにより、車の走行情報を収集解析し、効率的でエコな配車を実現した配車システム。店舗内につけられたセンサーとスマートフォンを連動させ、お客様が接近すると登録された情報を元にセールなどのお得な情報を流す販促システム。鉄道、航空機、イベントなど、チケットレスで入場できるだけでなくオススメのイベントなどを自動で紹介できる予約システム。配車を希望すると、GPS情報から最も近くにいるタクシーを直ちに配車するタクシー配車システム。さらには、建築、医療、ヘルスケア、教育、農業に至るまで、あらゆる分野でIoTは使われはじめています。普通に生活しているだけで、IoTによる数々の恩恵を知らぬ間に受けるように既になってきているのです。

遅れた者が消えていく。今、大きな変革の時

IoTによりインターネットにつながるデバイスは、既に150億個を超え2020年には500億個を超えるともいわれています。蒸気機関が開発され機械化が進んだ第一次産業革命。電化が進み大量生産が行われるようになった第二次産業革命。コンピュータの登場により自動化が進んだ第三次産業革命。その次となる第四次産業革命(インダストリー4.0)が、製造業に限らず、経済や社会インフラ、ビジネスの世界も含めてIoTにより起こると考えられています。ビジネスのやり方が大きく変わり、今やらなければ取り残されてしまう状況にあります。

スマートフォンの普及に始まり、IoTに使われる機器は年々安く、手軽になっています。先のIoTの実例でも挙げた通り、既にさまざまな分野で使用され、その普及のスピードは加速しています。

IoTの導入に関しての笑い話で、このようなものがあります。「コピー機にIoTを導入したことで、今までは壊れるたびに電話をしてサービスマンを呼んでいたが、今は連絡をしなくても壊れたことを自動で知らせて来てくれるようになった。しかし、ある日壊れてもいないのにサービスマンがやって来た。サービスマンはこう言う。『このコピー機は明日壊れるので、壊れる前にきました』と」

決断する時は今。IoTの社会は目の前に

IoTは今まで行ってきたビジネスのやり方を変える可能性があることはもちろん、新たなビジネスを生み出す可能性を多く秘めています。多くのモノが複合的につながるため、導入により直接的な効果がすぐにはわからない場合も多いですが、予想もしない大きな効果や新たな仕組みを作り出すことがあります。

IoTによるコピー機の笑い話では、サービスマンが故障を予測したコピー機に呼び出されて事前に来ていました。しかし、コピー機がIoTを導入するとともに構造も改良され、コピー機自身が使用者に指示を出して部品を差し替えるだけで故障を直すことができるようになるかもしれません。または、壊れた部品を配達する運送業者が行うようなサービスが生まれるかもしれない。そうなると、現地に出向いて修理するサービスマンは不要となります。AIでなくなる仕事はそれほど多くはないが、IoTによりなくなる仕事は多くあるかもしれません。

IoTによる変革は、今まさに始まりつつあります。多くの人がさまざまな予測をしていますが、実際にどのように変わるのか、どのぐらい大きく変化するのか……それは誰も先は読めない状況です。しかし、今までとは全く違う仕組みがつくられ、それが大きなビジネスとなるであろうことは間違いないといえます。新しい仕組みでは、それをいち早く取り入れた者が圧倒的に有利であって、後から入り込むことは並大抵のことではありません。先に作った者が勝ち、遅れた者が消えていく世界。何もやらなければ過去に取り残され、不要となった仕組みは自然と消えていきます。IoTを導入することで生き残るか、導入せずに消えていくのか。今、それを決断する時が迫っています。

語り手

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株式会社ビズライト・テクノロジー
代表取締役社長 田中 博見
1962年北海道旭川市出身。
大手家電メーカー系の工場でファクトリーオートメーション分野に従事したのち、コンピュータ業界へ。 8ビットから16ビットマイコン時代、ハードウェア設計からファームウェア開発までを経験。 その後はLINUXをベースとしたWEBソリューションに注力すると同時に、IPOを経験すると、 ECサイトの売上向上のためのビッグデータ解析や、BPRなど経営コンサルタント的な活動が増えている。 現在もっとも興味があるのはフィジカルコンピューティング。
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著者情報

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馬場 吉成
webライター。光ファイバー、半導体関連の装置の機械設計や
特許技術者の経験があり、ネットで各種技術を紹介する記事を
多数執筆。他にも日本酒、料理、マラソンなど幅広い分野で
多数の記事を企画、執筆しています。
ライターページ http://by-w.info/

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